秋田市クエスト

1/20(土)日本経済新聞(夕刊) にてご紹介いただきました。

2024.01.21

本日、2024年1月20日(土)日本経済新聞(夕刊)にて、
ご当地RPG『秋田市クエスト』をご紹介いただきました。

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https://www.nikkei.com/article/DGKKZO77831420Q4A120C2MM0000/
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地方創生、RPGで攻略
名所や特産品、ゲームと連動 観光客つかむ工夫カギ

架空の街を冒険したり試練を乗り越えたりして楽しむロールプレイングゲーム(RPG)を開発する自治体などが増えている。「ご当地RPG」と呼ばれ、ファンタジーの世界と実在の観光名所や特産品を組み合わせて仕上げる。ゲームをきっかけに観光に訪れる人もおり、地域の魅力を発信する手段としての存在感がじわりと高まっている。

忠実に地理再現
「これはお礼のおいりです。丸亀市発祥の縁起の良いお菓子ですよ」。香川県丸亀市の観光協会がホームページで無料配信している「まるがめクエスト~囚(とら)われの12姫~」のワンシーンだ。おいりは餅米と砂糖でつくる地元の銘菓。これを手に入れると、プレーヤーの〝体力〟が回復する。

ご当地グルメのうどんや骨付鳥、おいりなどのアイテムを入手しながら、市のマスコットキャラクターたちがモンスターと戦って丸亀城を奪い返すストーリー。新型コロナウイルス禍で観光客が激減するなか、コロナ後を見据えて観光協会の柴坂晃さんら職員3人が市販ソフトで11カ月かけて完成させた。

市内の地理や施設も忠実に再現。「駅前のレンタサイクル1日借りても300円」など、実際の観光に役立つ情報も盛り込んだ。

配信から半年後の2021年10~11月に開いたアイテムの展示会には1万人以上が集まった。参加した東京都の30代女性は「市販のRPGと違い、地元愛を感じる。ゲームの体験を実際の観光に生かせるのも魅力」と語る。

23年末時点で約9万7000のアクセスがあり、柴坂さんは「今後もゲームとの連動企画を打ち出したい」と力を込める。

自治体発のRPGは埼玉県行田市が18年に開発した「言な絶えそね―行田創生RPG―」が先駆けとされる。宮城県石巻市や千葉県佐倉市などでも誕生。「秋田市クエスト」など地元企業が手掛けた例もある。

ご当地RPGが増えている背景について、東京国際工科専門職大デジタルエンタテインメント学科の小野憲史講師は「PR動画など一方通行の広報と異なり、プレーヤーが主体的に情報を得られる。地域への興味を喚起しやすい」と話す。

石巻市は約1000万円を投じ、「キズナファンタジア 海辺の国の大聖典」を21年3月にリリースした。スマートフォン用アプリを無料ダウンロードして遊ぶ。

現地来訪を促すため、漫画家の故石ノ森章太郎さんの作品を集めた「石ノ森萬画館」など20カ所で全地球測位システム(GPS)を使うと、ゲーム内のアイテムを獲得できるようにした。ダウンロード数は23年末時点で約2万6000件に上る。

飲食店など割引
飲食店など地元事業者も盛り上げる。市から提供された関連グッズの配布に加え、各店舗が独自に商品などの割引クーポンを用意。協力店は延べ30店を超え、クーポンの利用も500件に達した。市の担当者は「ゲームを経由して石巻に来た県外の人もいる。地元の若者の関心も高くなってきた」と手応えを口にする。

ただ、ご当地RPGの多くはダウンロード数の約6割が配信後1カ月に集中するという。増え続ける新作の中で埋没しないためには内容の更新だけでなく、利用者を飽きさせず地域に関心をもってもらう工夫が欠かせない。

立教大観光学部の東徹教授は「ゲームとしての面白さも大事だが、それだけでは地域振興策として不十分だ」と指摘。RPGを楽しみながら地元住民と交流できる機能を加えたり、ゲームに登場する農産物を取り寄せることができたりするなど「現実世界の人やモノとつながる仕掛けを通じて『地域のファン』を増やしていく必要がある」としている。